コロナ関連でこんなニュースがありました。
人工呼吸器 国内メーカーが増産 新型コロナ感染拡大で
NHKニュース
新型コロナウイルスの感染拡大で、重症の患者が増えるのに備え、国内のメーカーの間で人工呼吸器などを増産する動きが出ています。
東京の医療機器メーカー、コーケンメディカルは、福島市にある工場で先月から人工呼吸器を増産しています。
ふだんは月に30台から50台、年間で350台程度の人工呼吸器を生産していますが、現在は工場をフル稼働させ、生産量を2倍程度に増やしています。
これを受けてメーカーも増産体制に入っています。
三幸製作所、10倍の500台体制
日刊工業新聞
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、国内の医療機器メーカーが相次いで人工呼吸器などの増産に乗り出している。三幸製作所(さいたま市西区、金坂良一社長、048・624・8121)は人工呼吸器の増産に向け生産体制を整備した。同社は年間50台程度の人工呼吸器を生産しており、10倍の500台程度まで増産できるよう部材や生産ラインを確保した。
問題点は人工呼吸器を扱う専門スタッフ、とくに臨床工学技士の不足

日本呼吸療法医学会と日本臨床工学技士会によると、2020年2月現在、全国の主な医療機関に人工呼吸器は2万2000台ほどあるそうです。
そのうち稼働しているのは40%の8800台とのことで、残り60%は使われていません。
もしかしたら、ここまでなら現在の医療体制で対応できるのかもしれません。
ところが今後、メーカーが人工呼吸器を増産し後に問題になるのがその機器を扱うことができる人材の不足です。
人工呼吸器を増産するなら、メーカーの技術者がいるじゃないか、と思うかもしれませんが、人材の中心として必要になってくるのが「臨床工学技士」です。医療機関ではMEとかCEと呼ばれています。
日本臨床工学技士会はClinical Engineer =CEで統一しているようです。
臨床工学技士は、装置が安全に使用されているか、装置に異常がないかなどを確認する重要な役割を担っています。
臨床工学技士とは? 臨床工学技士の仕事紹介動画を見てほしい
臨床工学技士は医療スタッフの一職種であり、現在の医療に不可欠な医療機器のスペシャリストです。
臨床工学技士は病院の中で活躍するメディカルスタッフで、ただの機械を修理する技術屋さんではありません。
医師や看護師、レントゲン・CT・MRIなどを扱う診療放射線技師、血液や細菌検査・心電図や脳波などの検査を行う臨床検査技師、リハビリテーションを行う理学療法士とともに働いています。
臨床工学技士の仕事とは?
日本臨床工学技士会による、臨床工学技士の仕事紹介動画がとても参考になります。
人工呼吸器の管理につていも動画の中で紹介されているのでぜひご覧ください。
あまり患者さんと接することがない職種なので認知度は低いと思いますが、命に直結するとても重要な仕事であることがわかります。
臨床工学技士を養成するには2年~4年かかる
臨床工学技士は国家資格です。
臨床工学技士を養成する大学、短期大学、専門学校において、特定の科目を修得し、国家試験に合格してはじめて臨床工学技士の免許を取得することができます。

このように、臨床工学技士の要請には時間がかかり、メーカーが人工呼吸器を増産しても、それを扱う技術スタッフの育成が追い付かないのが大きな課題です。
医学と工学の知識をかねそなえた臨床工学技士の存在は、高度な医療機器を扱う場合必須になります。
コロナ問題を機に、今後の社会に有望な職種として改めて注目されるかもしれません。
人工呼吸器が増えても臨床工学技士が増えなければ対応は難しい
政府は人工呼吸器の増産を要請し、自動車メーカーにも製造を依頼しています。
これは私見ですが、もし人工呼吸器が増産されたとしても、現状のままでは全国の医療機関に行き渡る可能性は低いと思います。
なぜなら、臨床工学技士の人数が足りないからです。
そうなれば、現在すでに人工呼吸器や臨床工学技士が配置されている病院に、追加的に導入されることはあるかもしれません。
もし増産されても、臨床工学技士のような「管理」できる人がいない病院には、導入することはあまり考えられません。
臨床工学技士は人材育成までに時間がかかるうえに、現場ではトラブルシューティングを求められます。
まとめ
コロナ感染拡大で医療機器の増産の動きになっていますが、それを扱うスタッフの体制が揃わないことが課題となっています。
ネットインフラが整い「情報」については便利にはなりましたが、「技術」を持った人の重要性を痛感させられます。
この非常事態に対して、少しでも有効な対応策が早く見つかることを祈ります。
まとまりのない終わり方ですみません。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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