若い頃は感じなかった疲労の蓄積感。
時間的には寝てるはず、体も横にしていたのに・・・
そんなとき「疲れ」について読んだ本があるのでご紹介します。
それが、久賀谷亮さんの著書『世界のエリートがやっている最高の休息法』という本です。
ざっくりというと、
疲れには2種類ある。
一つは身体の疲れ。
もう一つは脳の疲れ。
脳の疲れを科学的に研究した結果「瞑想」が有効。
シーンに合わせて7つの方法を紹介
という本です。
脳を科学的に研究してたどり着いたのが一見スピリチュアルにも見える「瞑想」というのは興味を引きます。
もちろん、疲れの原因や仕組みがまだ解明されていない中で、この本だけが「正解」とは言えませんが、一つの考え方として参考にはなるのではないでしょうか。
瞑想≒スピリチュアル
著者の久賀谷先生は精神科医です。イェール大で学び、米国で18年診療してきた実績があります。そんな著者やアメリカの精神医療分野が注目しているのが、これまでの薬物療法ではなく、脳を「一つの臓器」とみて直接的に治療をする脳科学アプローチや、さらには「第3世代認知行動療法」として注目されている「瞑想」なんだそうです。
そして、今回この本では「瞑想」をテーマにとりあげています。
瞑想と聞くとなんだかスピリチュアルなイメージがありますが、瞑想はかなりの有効性が期待できることが最新の研究動向からもわかっているそうです。
『世界のエリートがやっている最高の休息法』の要約
かなりざっくりですが、この本に書かれているのはこんなところです。
①疲れは2種類「体の疲れ」と「脳の疲れ」。脳には脳の休め方がある。
②DMNの活動を抑制することが脳にとっての「休息」となる。
③脳を休息させるためにマインドフルネス瞑想が有効
④脳疲労の理由と対処法
⑤シーンに合わせた7つの脳の休息方法
ストーリー形式で読みやすい文体
この本は、いわゆるビジネス書のような固い文体ではなく、主人公の日本人女性「ナツ」を中心としたストーリー形式になっていて、読みやすく構成されています。
体の疲れと脳の疲れは違う。脳には脳の休め方がある
こんな経験はありませんか?
・忙しいときも忙しくないときもいつも疲れている
・身体を横にしていたのに起きてもダルい
・睡眠時間を確保したはずなのに朝スッキリしない
そんな状態を著者は「脳が疲れている状態」だといいます。
身体そのものの疲れは「筋肉」の疲れ。疲れの要素は身体的なものだけではなく、脳が疲労しているときにも「疲れ」として感じるそうです。
そして、脳には脳の休め方があるといいます。
「脳の疲れ」の典型的な例が「燃えつき症候群」
これまで仕事に燃えて頑張っていた人が、限界を超えて急にバーンアウトして一気にやる気をなくしていく「燃えつき症候群」。
これが脳の疲れがの典型例。身体的には変化がないのに、脳が疲労して不調をきたしている状態です。
DMNの活動を抑制することが脳にとっての「休息」となる
DMNとは「デフォルト・モード・ネットワーク」という言葉の頭文字で、脳内で起こっている神経活動の一つ。
車でいう「アイドリング状態」。
何もしていない「ぼんやりとした状態で脳内で起こっている神経活動」です。
「ぼんやりしている」けど脳は休んでいるわけではなく、このDMNの活動は脳の消費エネルギーの60%~80%を占めるというから驚きです。
DMNの活動の良い面として、創造力が高まったりよいアイデアが浮かぶ、ということが上げられますが、DMNは脳全体のエネルギーの60~80%を占めるため、DMNが活性化すると「脳に疲れを生じさせる」と言われてます。
疲れた脳を休息させるために『マインドフルネス』が有効
マインドフルネスとは「瞑想などを通じた脳の休息法の総称」です。
このマインドフルネスは世界のエリートたちにも注目されていて、有名なところではアップル創業者のスティーブ・ジョブズは「瞑想」の実践者でした。
また、Googleのような巨大企業でもSIY(Search Inside Yourself)というマインドフルネス研修が社内の仕組みに取り入れられその効果が実証されています。
シーンに合わせた7つの脳の休息方法
本書では本の前半に、体調やシーンにあわせた「7つの脳の休息法」を紹介していて、これがこの本のメインの内容になります。
そしてそれぞれの脳の休息法を実践する場面を、ストーリーの中に当てはめて解説しています。
簡単に説明をつけますが、ネーミングでは内容がピンと来ないものが多いので、詳細はぜひ本書を手に取ってみてください。
①マインドフルネス呼吸法
注意散漫、無気力、イライラなど、とにかく脳が疲れているとき、過去や未来を考えず呼吸に意識を向け「今ここにある状態だけを考える」方法です。
空気を吸い、その空気が体に取り込まれる「呼吸」だけに意識を集中します。
ストレスの低減や雑念の抑制、集中力記憶力の向上、感情のコントロールなどに有効です。
②ムーブメント瞑想
気がつくと考え事をしている自動操縦状態から脱却する方法です。
ムーブメントと言う名前の通り動きながら瞑想します。
この方法は集中力や注意力の改善を図ります。
一例として「歩行瞑想」があります。
歩行瞑想は、呼吸ではなく「歩行の動作」に集中することで、DMNの抑制を目指します。このムーブメント瞑想はGoogleの社員研修SIYにも取り入れられています。
普段どおりの歩き方の中で「動作のひとつひとつ」に集中して注意を向けます。
たとえば、
腕を振ったときの、筋肉や関節の動き
足の裏が地面に着くときの感触
足を前に出すときの軸足が地面を蹴る感覚
など、自分の動作を細かく感じます。注意がそれる場合は、今、体験している動作を「口に出す」と良いそうです。
③ブリージングスペース
呼吸を意識しながらも体全体に意識を広げます。
マインドフルネス瞑想と違いは、ストレスの原因になっていることを「1つの文章」にすること。
ストレスの要因をフレーズ化することで自分の認知の歪みを客観化します
。呼吸によってストレスがほぐれていく感覚を目指します。
④モンキーマインド解消法
頭の中にいろいろな雑念が渦巻いている状態を「モンキーマインド」といいます。
のモンキーマインドの状態は、脳のエネルギーが大量に浪費されどんどん疲労が蓄積します。
そんな時は、雑念の内容の振り回されずに、まず雑念そのものを「これは雑念である」と認知します。
そして繰り返しやってくる思考に名前(ラベル)をつけ、今自分に何が起こっているのかを客観的にとらえることでモンキーマインドから脱却します。
⑤RAIN(頭文字をとってRAIN)
怒りや衝動に流されそうになったとき心を沈める手法。
効果は怒りの鎮静、欲望のコントロール、衝動の抑制、ダイエットなどです。次の4つのステップで衝動をコントロールします。
①Recognize(認識する)
②Acept(受け入れる)
③Investigate(検証する)
④Non-Identification(距離をとる)
これらの頭文字をとってRAINです。
怒りや衝動に流されそうになった時、今自分が起こっているなと認識をします。
その怒りを受け入れ、「怒ってしまうのは仕方がない。自分だって人間なんだから」と、その感情を許します。
次に、その怒りによって身体に何が起こっているのかを検証します。
そして最後に、自分の感情でありながらその怒りと距離を取り、他人事のように考えてみます。
⑥やさしさのメッタ瞑想
メッタとは仏教用語で「慈悲の心」という意味です。
他人に対してマイナスの感情があるときに前向きな感情を育てる手法です。
通常のマインドフルネス瞑想の状態で「今ここだけ」に注目させます。
そして、マイナス感情を持った相手のことを思い浮かべます。
次に、心の中でフレーズを唱えるのですが、そのフレーズはマイナス感情を吐き出すのではなく、他人に対する愛情や慈のフレーズにするんだそうです。
このように、相手に対してポジティブな感情を持つようにすると、脳に疲れがたまりにくい状態ができるそうです。
正直、あまりできる自信はありませんが・・・
このプログラムは、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)でも導入されているそうです。
⑦ボディスキャン
最後がボディスキャンです。
体に違和感や痛みがあるとき体の疲れや痛みを脳からリフレッシュする方法です。
脳の状態は自律神経やホルモンを介して体に反映されます。脳の疲労蓄積がひどくなると、体の一部にほてりや疲労感が生まれるときには局所的な痛みが発生するといいます。
ボディスキャンは、体を横にして呼吸に注意を向けながら行います。
まず、左足のつま先に注意を向け、足が靴や靴下に触れる感覚はどうなっているか?足の指が隣の指と触れ合う感覚は?など、足のつま先に注意を向けます。
次に左足のつま先から始まって全身を順番に意識していきますそして痛みのある部分を観察し認識します。
認識することが改善のきっかけになるそうです。
まとめ
現代人は昔に比べて多くの情報が流れ込み、おおくの「ながら作業」をしています。
今まで、複数のことを同時にこなす「マルチタスク」は、良いことだと思っていましたが、実は、その代償として脳の集中力を失う、という健康にとってはとても負担が大きいことだと知りました。
ぼんやりしている脳のアイドリング状態である、DMNの活動が活発化すると、脳疲労の大きな要因となるので、いろんなマインドフルネスを駆使して脳に休息を与えることが大切なんですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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