昨日、読売新聞の記事でこんな記事を見かけました。
『「紙で読書」派、進取の意欲や多面的な思考力高め』
これは、国立青少年教育振興機構が「子供の頃の読書活動の効果に関する調査研究」の調査結果を発表したものです。
読書をするとき、スマホやパソコンなどの『電子書籍』よりも『紙の本』を読む人の方が、何事にも進んで取り組む「意欲」や、物事を「多面的にとらえる能力」が高い、という調査結果が出たという記事です。
以下、記事の引用です。
「紙で読書」派、進取の意欲や多面的な思考力高め
読売新聞 2019/12/23
国立青少年教育振興機構は今年2月、20~60歳代の計5000人を対象に読書に関する調査を実施した。今回初めて、利用する主な媒体や読書時間ごとに
〈1〉紙
〈2〉スマホやタブレット
〈3〉パソコン
〈4〉複数の電子機器
〈5〉ほとんど読まない
――の5グループに分類。さらに、
▽物事に進んで取り組む意欲(主体的行動力)
▽多面的、論理的に考える力(批判的思考力)
▽自分を理解し肯定する力(自己理解力)
――を測る質問を出して自己評価してもらい、各グループの平均点(最高20点)を比べた。
(中略)
同機構は「こうした力は媒体にかかわらず読書習慣のある人の方が高いが、紙がより優れている傾向が鮮明になった」としている。
そのうえで、こんなツイートをしました。
電子書籍より紙のほうがいろんなことが頭に入りやすいのは前から感じてた。
— Narao (@NaraoSts) December 23, 2019
理由はシンプル
✅電子媒体
↓
その記事だけを読む
↓
他の情報は入らない
✅紙媒体
↓
隣の記事も含めて全体を俯瞰して読む
↓
情報量が多い
本屋さんで本を買う感覚と似てる#紙で読書#思考力 pic.twitter.com/DhVvXSvvro
これは、僕自身が前からなんとなく感じていたことです。
だって、辞書なんかでも、調べたい言葉の隣に関係ない言葉があって
連鎖的に読んでしまって、結果的に他の言葉も覚えてたことってありませんか?

今日は、これについてもう少し調べてみました。
新聞社は紙媒体が優位だと表現したがる?
さきほどの読売新聞の書き方は、正直少し誇張した見出しなのでは?
と感じる部分があります。
今回の調査は「子供の頃の読書活動の効果に関する調査研究報告」というもので、
調査方法は、読書量とその媒体を聞いたうえで、①主体的行動力、②批判的思考力、③自己理解力についての「自己評価」の結果をまとめたものです。
そう、自己評価です。
なので、能力に違いがあったかどうかの調査結果ではないのです。
なのに、新聞は1面で「「紙で読書」能力高め」と書くと、自分たちの存亡をかけて「紙媒体が優位、だから新聞が必要なんだよ」と言っているようにも聞こえます。
今回の記事の元になったサイトのリンクを貼っておきますので、興味がある方はぜひ実際の調査報告書を見てみてください。
参考リンク:
国立青少年教育振興機構
報告書全文
電子書籍と紙媒体はどちらが読書効果が高いのか?
本当のところ知りたいのは、電子書籍などのデジタル媒体と紙媒体では、読書の効果や知識の定着はどっちが優位なのか?ということです。
調べていると、あるブログにたどり着きました。
それが「パレオな男」というブログで、管理人の鈴木祐さんはメンタリストdaigoさんの動画の協力者にもなっている方のブログです。
その中にあった、バレンシア大学の研究論文が、僕が知りたかった「電子書籍と紙媒体はどちらが読書効果が高いのか?」という疑問に答えを提示してくれています。
論文のタイトルは「Don’t throw away your printed books」
google翻訳によると「印刷した本を捨てないでください」
紙媒体と電子書籍で同じものを読んだとき、理解力にどれくらいの差がつくのかということを調べた論文です。(下は結論部分の抜粋)

これがその原文(英語)です。僕は読めません^^→論文を見てみる
この調査結果から言えることは、
①読書にかかる時間が限られた状況の中は、紙の本の方が優位。
②逆に時間の制限がないときは、電子媒体と紙の本とで読書効果の違いはほとんどない。
③どのジャンルの本においても、紙の本の優位性は変わらない。
僕の結論

今のところ僕の結論としては、
・時間がない中で、本の中身を覚えなくてはいけない勉強の本の場合は紙の本で。
・小説や漫画など急いで読んだり記憶する必要がないものは電子書籍で。
本の種類や、記憶する必要性の有無、時間の有無で両方を使い分けるのが両方の性質をとらえていて効果的。
ただ、この研究では差がつく理由が不明なことと、2つの立場からの意見があるようです。
パレオさんのブログからの引用の方が的確なので引用させていただきます。
ここらへんの違いが出る理由はまだハッキリしてないんですけど、いまんとこ2つの立場があったりします。
パレオな男
この研究には「デジタルに慣れてない世界」も結構ふくまれてるから、デジタルネイティブだけに限ったら差がなくなるんじゃない?
いや、先行研究では「デジタルが人間の集中力を奪う!」って結果も出てるし、本質的に電子書籍は良くないのだ!
って感じでして、いまの段階では判断が難しいかなーというところです。
これはあくまでも僕の推論ですが、
スマホなど、小さな画面で文字を読むと、眼球の運動量(視野)が狭くなり、運動能力に影響がでる、という研究もあります。
現にスポーツ選手は眼球運動トレーニングを取り入れている選手もいます。
眼球運動の低下とその結果の視野の狭さが、脳の働きに何らかの影響を与えているように思います。
まとめ
今回は、電子書籍と紙媒体はどちらが良いか?について書いてみました。
僕の結論としては、「どちらか一方が優れているのではなく、本の種類や、記憶する必要性の有無、時間の有無で両方を使い分けるのが効果的」ということです。
みなさんはどう思われますか?
最後までお読みいただきありがとうございました。
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