こんにちはNaraoです。
「7つの習慣」といえば、スティーブン・R・コヴィーさんの世界的な名著を思い出した方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、あれは「行うべき7つの習慣」です。
一方、こちらは「やめるべき7つの習慣」です。
今日は、やめるだけで頭の働きが倍増する7つの習慣をご紹介します。
まず最初に答えを書きますが、 これらがやめるべき7つの習慣です。
- ①「興味がない」と物事を避けることが多い
- ②「嫌だ」「疲れた」とグチを言う
- ③言われたことをコツコツやる
- ④常に効率を考えている
- ⑤やりたくないのに、我慢して勉強する
- ⑥スポーツや絵などの趣味がない
- ⑦めったに人をほめない
人生経験上、なんとなく良くないかなと思える項目もありますが、③④⑤は美徳とされるのに何で?と 思ったりもします。
なぜこれら7つの習慣ををやめたほうがいいのか?
これらにはちゃんと脳科学を根拠とした理由がありました。
脳に悪い7つの習慣
ネタ元は『脳に悪い7つの習慣』という2009年に発行された本です。
著者の林成之先生は、1939年富山県生まれの日本の脳神経外科医で日本大学名誉教授です。
脳低温療法という、危篤患者に対する世界的にも画期的な救命療法の開発者です。
実はこの脳低温療法の開発秘話の話も興味深いのですが、今日はおいておくとして…
そんな「脳」のスペシャリストがこれら7つの習慣が脳に悪影響をあたえる理由を「科学的に」説明してくれています。
ここでは、できるだけ短く説明するため原理と結論だけに絞って書くようにしました。
脳はレッテルを貼る
本書ではまず、すべて内容の前提として脳の情報伝達経路の説明をしています。
目や耳から入ってきた情報は①~⑥の順で処理されます。
(カッコ)内は、僕がざっくりと機能を説明したものです。著者の説明ではありません。
- ①大脳皮質神経細胞(情報を受け取る)
- ②A10神経群(感情のレッテルを貼る)
- ③前頭前野(情報を区別したり、理屈に合っているか判断する)
- ④自己報酬神経群(達成感を感じたり褒められらりすると機能する)
- ⑤線条体-基底核-視床(意思決定・運動機能をつかさどる)
- ⑥海馬回・リンビック(記憶する)
そして情報は②~⑥をぐるぐる回りながら「信条」や「考え」をまとめるという仕組みになっていると著者は言います。
子供のころ、「心」って体のどの部分にあるんだろうと思ったことがありましたが、脳科学的には人間の心は、感情や考えをつくるこの神経系を指すのかも知れません。
特に②のA10神経群は重要な場所で、これがのちの脳のパフォーマンスを左右します。
A10神経群でまずその情報に対する「感情のレッテル」が貼り付けられます。
「好き」とか「やってみたい」、「面白そう」というポジティブなレッテルが貼られると、理解力や記憶力の能力は格段に良くなり、逆に「つまらない」とか「嫌い」というネガティブなレッテルが貼られるとそれらの情報に対して脳は活発に反応しません。
嫌いな先生の授業が頭に入らないのはこの原理が影響していると著者はいいます。
著者は②~⑥の神経群を『ダイナミック・センターコア』と呼んでいます。
脳が入ってくる情報をポジティブ情報としてとらえたときダイナミック・センターコアがフル稼働するというのが、脳が活性化する仕組みだと説明しています。
脳の3つの本能と2つのクセを知る
脳細胞に由来する3つの本能
そして、脳神経細胞には生まれながら備わる3つの本能があると説明されています。
- ①生きたい
- ②知りたい
- ③仲間になりたい
太古の昔から、脳の存在意義は情報処理でした。①②③の本能から情報処理を行い社会を形成してきました。これらは脳細胞に先天的にプログラムされた細胞由来の本能です。
①「生きたい」という本能から家庭を作り、②「知りたい」という本能から学校を、③「仲間になりたい」という本能から会社を作ってきたと著者は言います。
後天的に備わる2つの癖
さらに脳には環境等に影響を受けてできる、後天的に備わる2つの癖があります。
- ①自己保存
- ②統一、一貫性
①自己保存
自己保存は「自分を守ろう」とする性質で、自分を正当化し、防御しようとします。これは時として「自分のことを棚に上げる」とも言えると思います。
②統一、一貫性
統一、一貫性された情報をされた情報をを好み、統一、一貫性のない情報は避けるという性質があります。
これらの本能が人間の行動をつかさどっていることを知り、人間がとるあらゆる行動の癖を理解して対応すれば、脳をより活性化することができてパフォーマンスを上げることができます。
やめるべき7つの習慣とその理由
脳の前提を理解したうえで、あらためて、やめるべき7つの習慣とその理由をできるだけ短くまとめてみました。
①「興味がない」と物事を避けることが多い
→A10神経群が反応しないから
脳の3つの本能には逆らえず、興味がないことには反応しないのでパフォーマンスを発揮できない。物事のとらえ方を意識的にポジティブにとらえ、いろんなことに対して幅広い興味を持つようにしてA10神経群を刺激し、脳の本能を刺激すると、知りたいという興味を持ち、脳の活性化が始まる。
②「嫌だ」「疲れた」とグチを言う
→ A10神経群がネガティブな感情のレッテルを貼るから
意識的に物事を面白いと思って好きになることでA10神経群にポジティブなレッテルを貼る。
③言われたことをコツコツやる
→主体性を持たなければ脳は活性化しないから
真面目に取り組むことを否定しているのではない。
物事を達成するためには、ただ言われたことをやるのではなくて「主体性」を持って「自分ならこうする」と考えながら取り組むことが必要。また達成を目指すためにはコツコツではなく一気にやり切る
④常に効率を考えている
→パターンに沿った行動をするだけで、思考を停止してしまうから
決められた作業を効率的にこなすことが悪いという意味ではなく、毎回考えることを繰り返す中に新しい発想が生まれることもあるので、前に一度やったことであっても、思考を停止するという「効率化」をせずに繰り返し考えてみること。これまでの自分の考えを疑うことも大切。
⑤やりたくないのに、我慢して勉強する
→ネガティブなレッテルはパフォーマンスを発揮しないから
勉強して記憶力を高めるためには楽しんで勉強する必要がある。
嫌いな先生の授業は覚えられない。置かれた環境を前向きにとらえて、できるだけ好きになり、A10神経群のレッテルをポジティブな方向へ持っていく。
⑥スポーツや絵などの趣味がない
→空間認知脳が衰えるから。
空間認知脳とは、空間の中で位置や形を認識する機能で脳全体の働きに関わる機能。
脳には、たとえば「明日の10時」と言われたときに、翌日10時までの時間の長さを認知するといった時空を把握する能力がある。空間認知脳は正しい姿勢によって維持される。適度なスポーツを行い正しい姿勢を保つようにすることで空間認知脳を鍛える。
⑦めったに人をほめない
→相手のA10神経群を刺激できないから
自分の考えが相手に伝えるということは、相手のA10神経群を刺激するということ。
自分の頭の中でA10神経群プラスにレッテルを貼ったものについては、頭の中で周囲の脳神経に対してもフィードバックされ「同時発火」を起こす仕組みがあるが、それは情報を受け取る「他人の脳」に対しても作用する。だから感情表現豊かに相手に伝える努力が必要。
まとめ
以上、やめるべき7つの習慣について概要を書いてみました。
脳科学の専門家の書いた本ですが、とても読みやすいので、 もっと詳しくは、ぜひ本書を手に取って、じっくりと読んでみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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