奈良国立博物館で毎年、秋になると開催され、多くの人が訪れる正倉院展。
今年で第71回目となりました。
1300年前から厳重に保管されてきた国宝級の宝物が、20日だけ一般公開されるとあって毎年観覧に来られるリピーターの方も多くおられます。
今回も開催2日目に、1300年前の文化を想像しながら貴重な展示品の数々を見てきました。
毎回出展される貴重な宝物はさることながら、毎年、チラシには掲載されないマイナーな展示物があります。
実はそっちの方が個人的には楽しみで、当時の人の暮らしや考え方を感じられる展示となっています。
今日は正倉院展の庶民目線での楽しみ方についてご紹介します。
まず正倉院について
正倉院って何?って話ですが、ざっくりいうと奈良時代の聖武天皇のころに集められた宝物を保管している倉庫です。
西暦で言うと724年頃から集められた宝物や貴重な資料が保管されています。
宮内庁のHPに解説があります。
奈良・平安時代の中央・地方の官庁や大寺には,重要物品を納める正倉が設けられていました。そしてこの正倉が幾棟も集まっている一廓が正倉院と呼ばれたのです。しかし,あちこちに置かれた正倉は,歳月の経過とともにいつしか亡んでしまい,わずかに東大寺正倉院内の正倉一棟だけが往時のまま今日まで残ったのです。これがすなわち,正倉院宝庫です。
宮内庁HP
wikipediaにも説明のページがあるので、正倉院の概要はここらを理解しておけばだいたいOKです。
正倉院(しょうそういん)は、奈良県奈良市の東大寺大仏殿の北北西に位置する、校倉造(あぜくらづくり)の大規模な高床式倉庫。聖武天皇・光明皇后ゆかりの品をはじめとする、天平時代を中心とした多数の美術工芸品を収蔵していた建物で、1997年(平成9年)に国宝に指定され、翌1998年(平成10年)に「古都奈良の文化財」の一部としてユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されている。
wikipediaより
奈良時代ってどんな時代?
ところで、奈良時代と言われても「ああ、歴史で習ったよな」くらいしか思い出せない人もいると思います。と、いうか自分がそうでした^_^
時代としては飛鳥時代と平安時代の間の時代で、仏教文化の影響を受けた時代でした。
西暦でいうと710年 ~794年までの、奈良の平城京に都が置かれた時代が奈良時代と言われています。
飛鳥時代
↓
奈良時代→ココ!
↓
平安時代→鎌倉時代→室町時代
批判を恐れずにざっくりとこの時代を説明すると、奈良時代は、仏教によって世の中を治めようとする考え方の時代でした。
「仏教を信仰し仏さまに祈れば幸せになれる。」
そんな時代で、巨大な大仏殿をたてたり、政治も仏教の教えを元に行われました。
結果として仏教勢力が台頭して混乱の時代となり平安時代へと移るわけですが
正倉院展について
正倉院展は毎年秋に奈良国立博物館で開催され、今年(2019年)で71回目になります。
今年の正倉院展は、北倉14件、中倉8件、南倉17件、聖語蔵2件、合計41件の宝物が展示されています。
Twitterでも情報発信しています。
今年の会期は令和元年10月26日(土)~11月14日(木)までの20日間です。
午前9時~午後6時まで、金曜日、土曜日、日曜日、祝日は午後8時まで開いています。
入場料は細かく分かれています。
当日 | 前売・団体 | オータム レイト | |
---|---|---|---|
一般 | 1,100円 | 1,000円 | 800円 |
高校生 大学生 | 700円 | 600円 | 500円 |
小学生 中学生 | 400円 | 300円 | 200円 |
親子ペア | ― | 1,100円 (前売) | ― |
セット券 | 2,500円 | 2,300円 (前売) | ― |
なお、今年は御即位記念特別展として東京国立博物館で
「正倉院の世界」展が2期に分けて開催されています。
前期展示:10月14日(月)~11月4日(月)
後期展示:11月6日(水)~11月24日(日)
公式Twitterでは混雑状況も配信されています。
第71回正倉院展の展示品
詳細は公式HPを参照してください。
音声ガイドは必須
入館すると、入り口で音声ガイドの貸し出しがあります。
入場料とは別に、1台550円(税込み)かかります。
入場料の半分くらいしますが、これがあると正倉院展をより一層楽しむことができます。
音声ガイドの使い方
2019年は音声ガイドは21項目あり
展示物のレイアウトと音声ガイド番号
庶民目線での楽しみ方
展示はルートが決まっていて、入り口から順にまわっていきます。
毎年、正倉院展の案内チラシにはその年の目玉となる国宝級の美しい宝物の写真が掲載されていて、展示会場でも観覧する人の注目を集めています。
展示ルートの最後の方には、巻物など書物の展示コーナーがあるのですが、庶民目線で楽しむなら、最後の方に展示されている巻物コーナーにぜひ注目してみてください。
巻物は宝物としてではなく、当時の貴重な記録として展示されています。
その内容は、今回(2019年)は、「中央への食糧の請求書」(名前は忘れました)でした。
2018年の展示では「続々修正倉院古文書 第四十帙第一巻( ぞくぞくしゅうしょうそういんこもん じょ )」という巻物は、「写経生の借金の文書」でした。
さらに何年か前の展示では、古文書の名前は憶えていませんが「もっと休みが欲しい」とか「食事を配給してほしい」という要望書であったり、当時の写経生や宮仕えの人たちの暮らしが想像できて、親近感を覚えることができる展示物でした。
正倉院展の展示物としては華々しさがないのであまり紹介されることはありませんが、天皇という特別な地位の人ではなく、もっと下層の僧侶や役人たち(それでも庶民よりは位が高かったとは思いますが )のことを想像できる貴重な資料だと思います。
まとめ
毎年、開催期間はわずか20日程度の短い期間しかなく、また一度展示された宝物は10年~20年は再展示されません。
機会がありましたらぜひ足を運んでみて下さい。
最後までお読みいただきありがとうございました。
おまけ
オリエンタルラジオの中田敦彦さんのYouTube大学と言うチャンネルで、日本史の解説動画があるのですが、面白くてとてもオススメです。
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