こんにちは、総務歴20年のNaraoです。
サラリーマンの方はもうすぐボーナス (賞与) のシーズンですね。
ところで、今の会社を退職しようと決めている方。
それも賞与をもらってから退職しようと思っている方にとって今日の記事は必見です。
今日は、賞与もらってから退職しようと思っている人に向けて、知っていれば少しでも得する社会保険の知識の話です。
ここでいう社会保険とは健康保険と厚生年金のことを指します。
社会保険料に損得はない?
まず、誤解のないようにしておきます。
社会保険料のうち年金は、基本的に掛けた金額に応じて自分に返ってくるものなので、支払わない事が得をすることではありません。
年金は誤解されやすくて、どうせ将来もらえないなんて言う人もいます。
それは老齢年金といって、老後働かなくなってから受け取る年金のことです。
年金制度には、他にも障害年金や遺族年金というものもあるので、高齢になってからだけが年金を受けられるわけではありません。財源の問題はあるものの世界に誇れる社会保障制度なので、保険料を納めるのことはとても大切です。
ここでの話は、
払うものは払いますが「無駄な社会保険料を払わないよう仕組みを活用しましょう」
という意味であることにご注意ください。
保険料の損得は一概には言えない。退職後の状況で違ってくる
高齢者など一部の例外を除いて、退職して社会保険の資格を喪失すると、どこかの社会保険に加入します。
健康保険なら「国民健康保険」、自分で健康保険を払う「任意継続」、年金なら「国民年金」などです。
どこの保険に加入するかは、辞めた後の状況がどうなっているのかで違ってきます。
退職した翌日からの予定はどうなっていますか?
- A 何も決まっていない。
- B 翌日からフルタイムで働くところが決まっている。
- C しばらく働かずに配偶者、親など誰かの扶養に入る。
この中では、Cになると金額的に一番お得です。たとえば、次の仕事が見つかるまで共働きの奥さんの健康保険に被扶養者として入れてもらうとか、親が働いているなら親の扶養にしてもらうことです。
AやBの人は、自分でどこかに保険料を支払うのと、その金額は内容によって変わるので、一概に損か得は言い切れません、扶養されると社会保険に加入しながら保険料をA支払わなくても良いので支払う金銭がない分お得と言えます。。
ムダになる社会保険料は支払わなくてもいい
社会保険は自分に返って来るとはいえ、ムダな社会保険料は払いたくないですよね。
最もムダなのは健康保険料です。
さっきも書いたように年金は将来の自分に返ってきます。
でも健康保険は掛け捨てです。
支払った健康保険料の金額に応じて自己負担の割合が変わったりするのならともかく、いくら払っても窓口負担では3割負担とのままです。
病院に行かず健康で保険を使わなくても何も返ってきませんし将来にもつながりません。
特にもったいないのはボーナスに掛けられる健康保険です。
払わなくて済むなら一番節約したい部分です。
社会保険料徴収のしくみ
毎月の社会保険料は月単位で計算されます。日割り計算はされません。
法律用語なので回りくどい言い方ですが、
「被保険者資格を取得した日の属する月から資格を喪失した日の属する月の前月分」までの保険料を払う必要があります。
「資格を喪失した日」とは退職日の翌日のことです。
(例外もありますがここでは割愛します)
ですので、入社した日が月の途中でも、1か月分の保険料がかかりますし、退職した時はその翌日(資格を喪失した日)の前月分までの保険料が必要になります。
上手な退職日の選び方。月末退職を避けた方が良い理由
退職日をいつにするかによって社会保険料の支払額は変わります。
先ほど説明した「資格喪失の日の属する月の前月」という部分をもう一度書きます。
「被保険者資格を取得した日の属する月から資格を喪失した日の属する月の前月分」までの保険料を払う必要があります。
例1:退職日が12月31日だった場合
もし、退職日が12月31日だった場合、資格喪失日は12月31日の翌日の1月1日です。資格喪失日の属している月は1月なので、その前の12月分までは支払う必要があります。
通常、社会保険料は前月分を翌月に控除します。
12月の給与明細で控除されている社会保険料は11月分です。
12月分の社会保険料まで支払う必要があるので、12月の給与明細で2倍の社会保険料が控除されるか、翌月に支払いがある場合そこから控除されます。
例2:退職日が12月30日だった場合
もし、12月30日に退職したとすると、資格喪失日は12月31日です。
資格喪失日の属している月は12月なので、その前月の11月分までの保険料を支払い、12月分の社会保険料は支払わなくてもいいということになります。
このように退職日を月末から1日ずらすだけで1か月分の社会保険料を支払わなくて済みます。
給与担当者も見落とす社会保険料
ここまでの「退職日を月末にしない」というテクニック(仕組み)は総務担当者ならよく知っている方法です。
ここからが今日のメインです。
実は、給与担当者でもつい見落としがちな部分があります。
それは賞与の社会保険料です。
賞与が支給されると、給与と同じように健康保険や厚生年金などの社会保険が引かれます。
これは何月分の社会保険料なのかというと「賞与受け取った月の分」です。
もし12月10日に賞与をもらった場合、そこで引かれている社会保険料は12月分の社会保険料です。
先程「資格喪失日の属する月の前月分まで」しか支払う必要がないと説明しました。
そう、もうおわかりですよね。
12月30日に退職した場合11月分までしか保険料を払わなくていいので、月末前に退職した場合で
12月に受け取った賞与では社会保険料を支払う必要がないのです。
給与計算会社の担当者と話していても、ここを見落としている給与担当者はかなりいます。
賞与支払う段階では、退職日がまだ決まっていない場合もありますし、もし決まっていてもその後撤回される場合もあるので、とりあえず普通に天引きしていることがほとんどです。
賞与をもらった月に退職を考えている人は、賞与明細の社会保険の項目を見るようにしましょう。
そして、支払う必要がない社会保険料は返してもらいましょう。
天引きされていても、納付されないので得をするのは会社だけです。
これだけで数万円お得になる場合があります。
まとめ
掛け捨ての健康保険料は、自分の将来に反映されません。
仕組みを知っていれば、無駄な社会保険料を節約できます。
もし、賞与をもらって会社を辞めようと思っている人は、ぜひ賞与明細の社会保険の部分をチェックしてみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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