こんにちは、いまだにゴールド免許になったことがないNaraoです。
10月22日は「即位の礼」ですね。
先日こんなニュースがありました。
「即位の礼」恩赦実施へ最終調整 罰金刑の復権などに限定へ
2019年9月6日 FNNプライムニュースより
政府は、天皇陛下が即位を内外に宣言される10月22日の「即位礼正殿の儀」に合わせて、罰金刑などに限り、恩赦を実施する方向で最終調整に入った。
恩赦は、政府が罪を犯した人への刑を消滅させたり軽くさせたりするもので、皇室の慶事にともなう恩赦は、1993年の天皇陛下と皇后さまのご結婚以来、26年ぶり。
ただ、複数の政府関係者は「被害者感情を考慮して、時代に合うものにしなければいけない」と、恩赦の対象を絞る考えを示していて、比較的軽微な事件で罰金刑を受けた人の公民権を回復させる「復権」などに限定される見通し。
このニュースの記事にも書いてあるように、前回は26年前、1993年に当時の皇太子、今上天皇がご結婚された時に実施された 「皇太子殿下(徳仁親王)御結婚恩赦」 。
この時、恩赦の対象となったのは、1277人でした。
その前に、平成になったときの天皇の即位による恩赦では、復権:約250万人、特赦:267人、減刑:77人、執行免除:10人、というかなりの人数に対して恩赦が行われました。
今回、平成から令和へ変わり、今上天皇の即位に際して、恩赦は実施されるのでしょうか?
また、恩赦ってどんな人が受けられて、どのように決まるのでしょうか?
今回、恩赦についていろいろ調べてみました。
恩赦とは
恩赦とは刑罰を免除したり軽くしたりするものです。
恩赦は天皇の国事行為で、恩赦法という法律で定められています。大々的な恩赦は、天皇家や皇室に、慶事、弔事があったときに実施されることがあります。(特別基準恩赦)
ただし、慶事や弔事があっても実施されないこともあるようです。
恩赦の種類は5つ
恩赦には、①大赦、②特赦、③減刑、④執行免除、⑤復権の5種類があります。
①大赦
大赦とは、特定の罪状を許すものです。
例えば、大赦の対象となる罪状が「公職選挙法違反」と決まった場合、その罪名の有罪判決は効力をがなくなり、まだ裁判中で判決が出てない場合は、公訴が取り消されます。
②特赦
特赦は、「罪名」ではなく、有罪の判決を受けた特定の「人」の罪を許すものです。
特赦を受けた受刑者は釈放されます。
③減刑
罪名または特定の人を指定し、罰を軽くします。
例えば、 「死刑」を「無期懲役」 に刑を軽くしたり、「懲役3年」を「2年」に、「執行猶予5年」を「4年」になど、期間を短縮したりします。
④執行免除
刑を言い渡された特定の人に対し、刑の執行を免除します。
⑤復権
有罪になって資格や権利を奪われた人に対し、その資格や権利を復活させます。
例えば、「犯罪を起こして有罪判決を受けて無効になる」という決まりになっている税理士資格をもっている人が有罪になったため、資格を取り上げられていたけど、復権が実施によりその資格を返してもらえる、という場合です。
恩赦の実施方法
恩赦の実施方法には、「政令恩赦」と「個別恩赦」の2パターンがあります。
(1)政令恩赦・・・政令で恩赦の対象となる刑罰の種類、基準日などを定めて、それに該当する犯罪者に対して一律に行います。
(2)個別恩赦・・・特定の犯罪者に対して個別の審査を経て行います。個別恩赦は、さらに①常時恩赦と②特別基準恩赦の2種類に分かれます。
上記の①大赦、③減刑、⑤復権は政令恩赦が可能で、 個別恩赦では②特赦~⑤ 復権 の恩赦が可能です。 今回のニュースでは、個別恩赦のうち、特別基準恩赦について検討されているようです。
なぜ恩赦を実施するのか?
恩赦という制度は海外でも、また日本でも古くから行われていて、当時は国を治める為政者が国民を懐柔するために行われていたそうです。
今の時代に、そもそもなぜ恩赦が必要なのでしょうか?
このテーマについては、実は法律家の中でも意見が分かれているようです。
法務省のページにはこんなことが書かれています。
恩赦にはいくつかの役割がありますが、その中で最も重要なものとして、「罪を犯した人たちの改善更生の状況などを見て、刑事政策的に裁判の内容や効力を変更する」というものがあります。具体的に説明しますと、裁判で有罪の言渡しを受けた人たちが、その後深く自らの過ちを悔い、行状を改め、再犯のおそれがなくなったと認められる状態になった場合などには、被害者や社会の感情も十分に考慮した上で、残りの刑の執行を免除したり、有罪裁判に伴って制限された資格を回復させたりということが行われます。
法務省HPより
このように恩赦は、有罪の言渡しを受けた人々にとって更生の励みとなるもので、再犯抑止の効果も期待でき、犯罪のない安全な社会を維持するために重要な役割を果たしているといえます。
一方で、恩赦の制度について反対する意見としては、
裁判制度が確立している中で、特例として一部の犯罪者に対する恩赦を行う合理的な理由がないこと。皇室の慶事や弔事がいつ起こるかわからないのに、それを更生の励みになどできないこと。などを挙げています。
司法制度の手続きによって刑を確定したのに、皇室の出来事でその内容を変更するのはおかしい、という考えかたについては、確かにわかる気もします。
愚民の僕としては、皇室の慶事で刑罰が軽くするなら、犯罪を犯していない一般国民にも何かサプライズがあってもいいのに、なんて考えてしまいます。
う〜ん、なんともいいアイデアが浮かびませんが、たとえば
「願書」により申請して採用されたら借金を棒引きにしてくれる「個別棄捐令」とか(笑)
スピード違反の点数は消えるのか?
ここまで恩赦についていろいろと書いてきました。
結論。個別基準恩赦の実施によってスピード違反の点数は免除されて消えるのかと言えば…
残念ながら、恩赦の対象になりません!!!
なぜなら、恩赦の対象となるのは、「刑事事件」で「有罪判決」を受けた人だからです。
なので、個別恩赦によって交通違反の点数が消えたり、免停が取り消しになることはありません。
10月21日追記
今回の即位の礼で、政令恩赦が実施されました。これによって、軽微な交通違反などで罰金刑を受けたことで資格を停止された人のうち、罰金の納付から3年以上経過した約55万人の方が「復権」しました。
恩赦の対象となる人はどうやって選ばれる?
恩赦の対象者はどうやって選ばれるのでしょうか?
個別恩赦の手続は,検察官,刑事施設及び保護観察所の長が職権又は本人からの出願に基づき,中央更生保護審査会に上申をし,審査会が審査の結果,恩赦を実施すべきであると認める場合には,法務大臣に対しその旨の申出を行い,その申出がなされた者について,内閣が閣議により決定し,天皇が認証します。
法務省HPより
なんと、恩赦は出願制なんです!
願書には記載項目が決まっています。
願書て…なんか受験みたいですね。
① 出願者の氏名,出生年月日,職業,本籍及び住居
② 有罪の言渡しをした裁判所及び年月日
③ 罪名,犯数,刑名及び刑期又は金額
④ 刑執行の状況
⑤ 上申を求める恩赦の種類
⑥ 出願の理由
上記の内容を書いて、審査会に提出します。下は記入例です。
まとめ
今回は恩赦について調べて見ました。まとめると、
⑴恩赦には5つの種類がある。
⑵恩赦の決め方は政令恩赦と個別恩赦の2種類がある。
⑶恩赦は刑事罰の有罪を受けた人が対象になるので、有罪とならない程度の交通違反は恩赦の対象にならない。
⑷個別恩赦を受けたい場合は、願書を提出し審査会の審査を経て決まる。
以上、恩赦のしくみについてでした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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