大阪の堺市にある、元禄8年創業の老舗蕎麦屋「ちく満(ちくま)」でせいろそばを食べてきました。
堺では、甘味どころの「かん袋」と並んで有名なお店です。
元禄8年(西暦1695年)というと、5代将軍徳川綱吉の時代です。
320年以上前、江戸時代に創業した老舗の蕎麦屋です。
このお店では、江戸時代初期からあるという蒸籠(せいろ)で蒸した盛り蕎麦を提供しています。
食感に特徴があるので、好き嫌いが分かれるかもしれませんが、江戸時代から続く伝統の味を経験すれば、お蕎麦の概念が変わるかもしれません。
独特の外観と風情のある店内
場所は阪堺軌道の路面電車が通る大通りに面していて、宿院駅の近くにあります。
↓外観はお店というより工場です。これが本当にお店?まずはこれが第一印象です。
斜めに渡っている通路を見て、思わずドンキーコングかよっ!と言いそうになりました(笑)
よく見ると和風の建物を挟むように工場が立っています。
どうしてこんな形になってしまったのでしょうか?
近づいて行くと左手に入り口があり、ようやく蕎麦屋らしく、お店の入り口が見えてきます。
入り口を入ると左手には機械室になっていて、中では機械で製粉しています。
どこかに出荷しているのでしょうか?お店で使う分を製造するには大掛かりな気がします。
建物内と店内の雰囲気
入り口から向かって右手に飲食スペースがあります。
(写真は中から外に向かって撮ったので左手に見えています)
イス席はなく座敷のみです。 テーブルは掘りごたつ式ではないのであぐらをかくか正座をするか、足の悪い人には少しツライかもしれません。
テーブルは小さめですが、漆塗りのような風情のあるテーブルです。
江戸時代から続く「せいろそば」
メニューはそばのみです。
お店に入ると席に案内されますがテーブルにメニューは置いてありません。
すぐにお店の方がテーブルにやって来て「何斤にします?」と聞かれます。
冒頭でも書いた通り、ちく満の「せいろそば」は暖かいせいろに入った蒸し蕎麦です。
注文すると、せいろそばと生卵、徳利に入ったお出汁と薬味がセットで届けられます。
出汁はかなり熱いので徳利にはおしぼりが巻かれています。
せいろの蓋をあけると、湯気とともに蒸しあがった蕎麦が現れます。
最後の一滴まで楽しめる
まずお椀の中に生卵を入れてだし汁をかけます。
卵はあまり細かくときすぎず、黄身を軽く崩すような感じに軽くときほぐします。
そこに薬味を入れて、蒸しあがったせいろそばをつけていただきます。
で、肝心のお味は・・・
初めて食べた人に、美味しいですかと聞いたとすると
「とても風情がありますね」と答えそうなくらいのインパクトです。
始めて食べた時、僕はそう思いました(笑)
蕎麦にはコシがなく、柔らかすぎるくらい柔らかい。
悪く言えばフニャフニャ。お箸で切れます。
でも、座敷に上がりあぐらをかいて座り、運ばれてきた湯気が立つせいろそばを、徳利に入ったしょうゆベースの濃いめの出汁をお椀に注ぎ、卵をかるくかきまぜた「つけだれ」に蒸した蕎麦をくぐらせて、まるですき焼きのように食べると、江戸時代にタイムスリップできます。
最後に蕎麦湯が提供されるので、熱々の蕎麦湯をお椀に注ぐと卵がちょうどいい具合に固まり、お吸い物のような状態になり、全部飲み干すことができます。
10年ぶりの価格改定
値段は一斤880円、1.5斤だと1100円になっています。(いずれも消費税税込)
平成21年から10年間値上げをせずに頑張ってこられたようですが、2019年10月1日から消費税改定に伴い値段も改定されていました。
こちらが現在のメニューと価格です。
せいろそば 1斤 880円
〃 1.5斤 1100円
おみやげ 1600円
さけ・びーる 770円
小びーる 440円
つきだし 120円
さいだー 330円
じゅうす 330円
たまご・やくみ 80円
おかわり 770円
300年前の江戸の空気をみなさんも体験してみてください。
ちく満 (ちくま)
大阪府堺市堺区宿院町西1-1-16
定休日 月曜(祝日の場合は翌日休)
営業時間 10:30~20:30
電話 072-232-0093
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